ねこ太郎ねこの音楽ブログ

洋楽翻訳や歌詞考察を通して音楽をもっと楽しむ!ためのブログです。

Justin Timberlake - Suit & Tie ft. JAY Z について

この曲を初めて聞いたときの不思議な感じは今でも覚えています。その時はなぜ印象に残ったのかわかりませんでしたが、ひとつ「Suit & Tie」はあまり聞きなれないジャンルの音楽だったからだと思います。この曲を「ジャンル分け」するならR&B(Rhythm and blues)となるようですが、私にとってはオンリーワンのジャンルのように感じられます。私は初めて聞いた曲に対して、「○○の××っぽい曲だな」という感想を抱いてしまいがちですが、いまだに「Suit & Tie」に似ているなあと思う曲にはまだ出会っていません。そう考えると自分のオンリーワンに出会うためには、もっと幅広いジャンルの音楽を聞かないとなあと思います。なお、人におすすめされた曲に対して「○○の××っぽい曲だね!!」と無邪気に言うと、相手に「音楽マウント」を取られていると勘違いされてしまうのでやめた方がいいです。

 

 

[Intro: Justin Timberlake & Timbaland]
Ooh-oh
I be on my suit and tie, shit tied, shit tied ※1
I be on my suit and tie, shit tied, shit
Can I show you a few things?
A few things, a few things, little baby ※2
‘Cause I be on my suit and tie, shit tied, shit
I be on my suit and tie, shit tied, shit
Let me show you a few things
Let me show you a few things
Wait a minute
You ready, JT?

[Verse 1: Justin Timberlake]
I can't wait 'til I get you on the floor, good-lookin'
Going hot, so hot, just like an oven
And ow! Burned myself, but just had to touch it
And it's so so fine, and it's all mine
Hey, baby, we don't mind all the watching (High)
‘Cause if they study close, real close ※3
They might learn something
She ain't nothing but a little doozy when she does it
She's so fire tonight

[Chorus: Justin Timberlake]
And as long as I've got my suit and tie
I'ma leave it all on the floor tonight
And you got fixed up to the nines
Let me show you a few things (Show you a few things)
All pressed up in black and white
And you're dressed in that dress I like
Love is swinging in the air tonight
Let me show you a few things (Show you a few things)
Let me show you a few things
Show you a few things about love
Now we’re in the swing of love
Let me show you a few things
Show you a few things
Show you a few things about love, hey

[Verse 2: Justin Timberlake]
Stop, let me get a good look at it
So thick, now I know why they call it a fatty ※4
And ow!
Shit so sick got a hit and picked up a habit
That's alright, ‘cause you're all mine (You're all mine)
Go on and show 'em who you call daddy
I guess they're just mad
‘Cause, girl, they wish they had it
My killer, my Thriller, yeah, you're a classic
And you're all mine, tonight

[Chorus: Justin Timberlake]

[Interlude: Justin Timberlake]
Get out your seat, Hov! ※5

[Verse 3: JAY-Z]
Uh!
All black at the white shows ※6
White shoes at the black shows
Green card for the Cuban linx
Y'all sit back and enjoy the light show
Nothing exceeds like excess
Stoute got gout from having the best of the best
Is this what it's all about? I'm at the rest-
…aurant with my rant disturbing the guests
Years of distress, tears on the dress
Try to hide her face with some makeup sex
Uh!
This is truffle season
Tom Ford tuxedos for no reason
All Saints for my angel, Alexander Wang too
Ass-tight denim and some Dunks
I'll show you how to do this young, uh!
No papers, catch vapors
Get high, out Vegas
D'USSÉ's on doubles, ain't looking for trouble
You just got good genes so a nigga tryna cuff you ※7
Tell your mother that I love her ‘cause I love you
Tell your father we go farther as a couple
They ain't lose a daughter, got a son
I show you how to do this, huh! Uh

[Chorus: Justin Timberlake]

[Outro: Justin Timberlake]

 

以下、訳

 

[Intro: Justin Timberlake & Timbaland]
スーツにネクタイなんて御免だ ※1
堅苦しくて縛られてるみたいだ
君にわかってもらえるだろうか
些細なことなんだ ※2
スーツにネクタイなんて御免だからね
堅苦しくて縛られてるみたいだ
君にわかってもらえるだろうか
ちょっと耳を貸してくれないか
ちょっと待てよ
準備はできたか、JT?

[Verse 1: Justin Timberlake]
フロアで君を会うのが待ちきれないよ、綺麗な君をね
熱くなろうオーブンに入れられたみたいに
触っただけで燃え尽きてしまいそうだ
とてもいい感じだ、全て手に入れた気分だ
そうさ周りなんか気にしない
すげえ近くで俺らを見てるんだろうから ※3
彼らの「勉強」になるはずさ
ちょっと凄いってもんじゃない
熱い夜になりそうだ

[Chorus: Justin Timberlake]
ずっとスーツにネクタイしてたけど
今夜は全部脱ぎ捨てるさ
そして君は着飾るのさ
わかってほしんだ
全部黒か白の衣服を身に着けて
俺の好みの恰好だ
愛がゆらめいている
些細なことなんだ
伝わってるだろうか
愛をわかってほしんだ
俺たちは愛の揺りかごにいるんだ
些細なことなんだ
伝わってるだろうか
愛をわかってほしんだ

[Verse 2: Justin Timberlake]
ちょっと待って、よく見てたい
なんて大きさだ、奴らがそれを「fatty」て呼んでたわけだ ※4
参ってしまいそうだ病みつきさ
そうさ、だって全部俺のものだからね
さあ君が俺のことを「daddy」と呼んでる様を見せつけよう
きっと奴らはイラつくだろうね
なぜってみんな君を手に入れたいからさ
ドキドキさせて殺す気かい、そう君は麗しい
今夜は君は俺のものさ

[Chorus: Justin Timberlake]

[Interlude: Justin Timberlake]
さあ立ちな、Hov! ※5

[Verse 3: JAY-Z]
ホワイト・ショーに立つ黒人でも ※6
ブラック・ショーでは白い靴
Cuban link chainにはグリーンカードを使うのさ
みんなライトショーを楽しんでる
この盛り上がりを超えるものなんてない
Stouteはいいもん食べすぎて痛風になっちまった
「それで全部か?」俺はレストランにいて
暴言吐いちまって乱してしまった
長年の苦痛でドレスにこぼれた涙
仲直りのセックス中には顔なんて見たくなかった

トリュフの季節だ
Tom Fordのタキシードに理由なんてねえ
俺のエンジェルのためのAll SaintsやAlexander Wang
タイトなデニムにダンク(靴)もいい
どうやって着こなすか教えてやる
葉巻じゃなくて電子タバコ
ハイになったらベガスに出よう
ダブルのD'USSÉ(コニャックの品名)に欠点なんて見つかんねえ
お前はいい血を引いたから、皆君を隠したがる  ※7
君を愛しているから、ママにも愛を伝えるんだな
パパにはお前の大事な人と上手くいってることを伝えてくれ
娘を失うんじゃなくて、息子ができるって考えるんだ
俺がお手本になってやるよ

[Chorus: Justin Timberlake]

[Outro: Justin Timberlake]

 

※1・・・「I be on my suit and tie, shit tied, shit tied」について

この曲で何度も繰り返される「suit and tie(スーツとネクタイ、あるいはそれ相当の正装)」ですが、歌詞から主人公は「脱いでしまいたい」と考えているようです。よってここの部分では「suit and tie」から解放されたいという主人公の意思があると憶測し、翻訳をしました。

※2・・・「A few things」について
こちらも曲中で繰り返し用いられるキーワードですが、「A few things」は相手への「愛」や「気持ち」を指しているものと思われます。多くの煩雑な事はわかってくれなくてもいいから、大事な「数少ない」事だけはわかってほしいということを表現しています。授業中に先生が黒板を叩きながら「ここ出るぞ!」と言う気持ちと同じ(?)です。

※3・・・「‘Cause if they study close, real close They might learn something」について
個人的に好きな歌詞です。理由は「エロ」を感じるからです。なぜエロいと感じるかはわかりませんが、「study」や「learn」といった真面目なイメージの言葉に「real close」や「something」など意味ありげな語句が配置されているギャップのせいだと思います。想像力が豊かすぎるかもしれませんが、「they」に見られているという「プレイ」を指している可能性もあると思います。

※4・・・「So thick, now I know why they call it a fatty」について
ここでは『なんて大きさだ、奴らがそれを「fatty」て呼んでたわけだ』と訳しました。ここで「
it(それ)」は、女性の「お尻」を指しています。「fatty」は基本的には「太っている・デブ」など悪口に用いられることが多いみたいですが、ここでは誉め言葉として用いられています。

※5・・・「Hov」について
ラップ部分ではJAY-Zというアメリカのラッパーが登場します。「Hov」というのは彼のニックネームで、「Jehovah (神)」=「JAY-Hova」の語感からもじったものみたいです。なおJAY-Zの奥さんはあのBeyonceです。

※6・・・「All black at the white shows」について
「black」はそのまま「黒人」を指しています。「White Show」ですが、これは「白人が設けたステージ、あるいは白人優位の舞台」のことを指し、揶揄の意が含まれています。例えば、グラミー賞ですが、歴史的に白人が不自然なほど多く受賞しています。ここは、そのような舞台でパフォーマンスする自らを表した歌詞となっています。

※7・・・「You just got good genes so a nigga tryna cuff yo」について
ここは「お前はいい血を引いたから、皆君を隠したがる」と訳しましたが、言葉遊びとして「genes(遺伝子)
」に対する「Jeans」の呼応が隠れています。前の歌詞でブランド物のデニムや靴の話題が出ていること、後に続く「cuff(隠す)」という単語は(ズボンなどに)「手を突っ込む」という使われ方をされること、からもそのような暗喩がなされていることが理解できます。

 

静かな夜にバーで流れていてほしいような非常におしゃれな曲調ですが、基本的に歌詞は「セックス」を示唆しており、エロを感じます。ただ「Suit & Tie」という題名からも気品の良さを感じることができ、個人的には「大人」な曲だなあという印象を持ちます。
ラップ部分に関しては、一行一行歌詞の意味を調査したので、翻訳に時間がかかりました。20行ほどの歌詞の調査でしたが、「アメリカ-キューバ間の外交関係」から「80年代の名作ギャング映画」まで様々な分野に触れることができ、とても勉強になりました。一行ずつ注釈をつけて解説してもよいのですが、それをやるとちょっとした論文並みの長さになってしまう恐れがあったので今回は一部のみの解説といたしました。